EditorsJuniorの日記

編集・ライター兼オンライン型寺子屋の講師が書籍を紹介したり、日常を綴ったりします。

2022-01-01から1年間の記事一覧

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫 <7>

第六章 インターネット時代の英語と〈国語〉 この章では、いよいよ現在、直面している〈国語〉と文学の危機について語られます。 単行本が発刊された2008年、著者はすでに「英語の世紀に入った」と書いていますが、その頃は、まだ多くの人は「いずれそうなる…

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫 <6>

第五章 日本近代文学の奇跡 この章では、日本近代文学というものが生まれ、花開いた過程を読者に解き明かしてくれます。 日本近代文学が生まれた、言い換えれば、明治~大正期に山田美妙、尾崎紅葉、夏目漱石、森鴎外、坪内逍遥、志賀直哉、武者小路実篤、谷…

夏休みの宿題は、大人と子どもがガチで対話できる絶好の機会

あと5日で8月も終わり。 エディターズジュニアを起ち上げて初めての夏でした。 子どもたちの長期休みに合わせて無料オンラインイベントを2種開催しましたが、ともに無事終了しました。 ■エディターズジュニアの夏休み自由研究★ポスタープレゼン・ワークショ…

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫 <5>

第四章 日本語という<国語>の誕生 夏目漱石の『三四郎』の引用から始まるこの章では、なぜ近代の入口で日本語が<国語>となったのか、なぜ維新後間もなく豊かな国民文学が次々と生まれたのか、前章に引き続き詳しく述べられます。 まず、<国語>誕生の条…

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫 <4>

第三章「地球のあちこちで<外の言葉>で書いていた人々」 三章は、そもそも近代文学が成立する前提となる「国語」とは何かについて整理する章です。 ※この賞は、ちょっと読むのに集中力が必要なので、お急ぎの方は、読みとばして第四章あるいは第五章にいっ…

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫 <3>

第二章「パリでの話」 第二章は、著者が少女時代に読んだ児童文学『小公女』(フランシス・バーネット/1888年)の紹介から始まります。 ※長くなるのであらすじは省きます。とりあえず雰囲気を知るなら、1995年製作の『リトルプリンセス』は見やすくておススメ…

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫<2‐追記>

IWPで著者はウクライナ人の女性作家、イフゲーニアと知り合います。イフゲーニアは、ウクライナ語で書く作家です。 2022年3月の今、そのウクライナ語についての説明部分を少し長くなりますが、引用しておきます。 P60より あるいは、イフゲーニアのウクライ…

背伸びしても読むべき中高生からすべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫/ <2>

導入となる一章は、「アイオワの青い空の下で<自分たちの言葉>で書く人々」と題し、著者がアメリカのアイオワ大学が主催するIWP(International Writing Program)に参加した2003年初秋の経験が描かれます。 ※アイオワ大学は、全米で初めて1936年に創作学…

背伸びしても読むべき中高生~すべての大人向け『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』水村美苗/ちくま文庫 <1>

教育関連の取材も多い雑食ライターとして、また子育て中の親として、読んで衝撃を受けた著作のひとつが、『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』です。 2008年に刊行された同書は翌年小林秀雄賞を受賞。2015年、英語翻訳が出版されたのを機に文庫化され、…

幼児~小学生の親御さん向け『声に出して読みたい日本語』齋藤孝/草思社/2001年

このブログで最初にご紹介したいのは、この本。 『声に出して読みたい日本語』齋藤孝/草思社/2001年 まえがきより引用 この本は、読むというよりは、使い切ってもらうのにふさわしいものです。とくに親子で暗誦文化をいっしょに楽しみ、継承していただければ…